2024年4-6月期アニメ「夜のクラゲは泳げない」の5話~8話のコメントです。
第5話「コメント欄」
冒頭はアマチュアが収録する大変さが分かるエピソードでした。ちょっとした声が入ってしまい、それが"呪いの音源"になってしまうわけですから。複数人で活動をしていく中で、他のメンバーとのギャップに悩むまひるの気持ちがテーマでした。そういう悩みは結構あると思うのでそこをフォーカスしたことは視聴者に響くものがあります。
1話の小学生の回想シーンでは自分の描いた絵を変だと言われ、自分が描いたことを隠したまひるでしたが、今回は最初に自信をなくしたものの、最後にはもっと上手くなろうと思っていて、そこは成長というか変化なのでしょうかね。
第6話「31(サーティワン)」
31って年齢か。もちろん、アイスクリームではないでしょうけど。今回は周りから変と言われている人を好きでいてはいけないかという話で、しかもそれが自分の親というのは辛いところですよね。何も考えずに吹っ切ることと、好きでいることに自信を持つことって以外と難しく、そのモヤモヤした気持ちを具体的に描いていました。そこの背中を押したのがめいですが、彼女の経験を私たちは知っているため、説得力がありました。
あとはアイドルの姿は切り取られた姿であるということがよく分かりましたね。食事のSNSには焼き鳥は撮らずに、サラダだけ載せてダイエットのイメージを作ったり、歩くと言って実際は電車に乗っていたりです。加えて、それとは反対に家庭での豆苗や洗い残しの食器がキッチンにあることから見える生活スタイルもみー子への理解が深まるカットだったと思います。
JELEEの顔出しをコピーバンドで凌いだのは、なるほどでした。
その他、
「学校ってそういう場所なので」
第7話「夜明け」
進路に迷う花音をバイクの合宿教習で一本道が中々上手く渡れないことや免許を取っても行き先が決まらないことに重ねていました。一方で「普通」よりは変わっている方がいい(=一本道から外れても)という本作のテーマも健在でしたかね。教員になりたい理由が、自分の経験を受けてそのような王道から外れた生徒の味方になりたいということで、キウイはそれなりに考えていて、単なる「変」で終わらないテーマの厚みを感じられました。
また、断片的な部分では小春の顔や胸に象徴される作った外見も「普通」と「変」につながると思いました。
他には、バイクよりネット回線の方が早いという考え方もキウイらしいし、現代的でした。
最後にバイクの2人乗りですが、『スーパーカブ』と異なり、違反切符を切られましたね。別にアニメなので私はどっちでもよいのですが。
第8話「カソウライブ」
合宿、ライブどちらもとても良かったです。合宿は場所*1の選択も含め、テンポの良い会話のやりとりが面白かったですし、キウイのネット回線を確認する姿は少しギャグっぽい小ネタでした。
ライブの準備ももちろんです。ペンライトが揺れる姿、とりわけ全体の動きとズレた部分にファンの一人一人を感じるという花音の発言にはファンの生の思いを大切にしている感じがしました。
今まで作中では自分たちが作品を作ること、強いて言うならフォロアーという目標程度に留まっていた印象ですが、今回はファンの目線、ファンとつながることを明確に意識していて、キャラクターおよびJELEEというグループが一段階成長したことが垣間見えました。ファンアートの数々や配信時のコメントもそれを表しています。
そして、ライブ中止の危機に対して現代のツールを駆使して乗り越える姿も本作の魅力です。
「画面越しでも人はつながれる」
演出やカメラワークも特徴的なものが多かったです。キウイのVTuberが画面を開いたり閉じたりすることでの場面転換や、合宿での作業の様子を「J」「E」「L」「E」「E」で切り替えながら描いた場面、まひるが歯磨き中に電話を終えた際の鏡から見た反転させた「通話終了」などです。その前の洗濯機の上に置いたスマホがブルブル震えるのも細かい動きですが個人的にはお気に入りです。
まとめ
JELEEはうなぎ上りに人気が出ていて、テーマも大きくなってきますが、足元の心情描写は疎かにならず、視聴者にスッと入ってきます。本作も右肩上がりで面白くなっています。また、外見と内面の対比、それを補完するSNS等を始めとした現代ツールによるストーリー展開も興味深いところです。
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*1:未成年が入れるのかしら