アニメ模様

アニメに関していろいろと書く予定です。コメントはお気軽にどうぞ。

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話数単位で選ぶ、2025年TVアニメ10選

今年もこの企画に参加しました。集計は例年同様にaninadoさんです。今回も項目別に並べてみました。


・2025年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
・集計対象は2025年中に公開されたものと致しますので、集計を希望される方は年内での公開をお願いします。

スタッフの情報はwikipedeiaなどを参照しています。

・空間を使った遊び心

最初に取り上げる2本は画面構成やストーリーラインの見せ方に一癖、二癖あった話数です。

1. CITY THE ANIMATION 第5話「塔/バッドタイム/そろばんと三つ編み/かけ抜ける青春/絶対安全にーくら」

脚本:西川昌志 絵コンテ:太田稔 演出:太田稔 作画監督:門脇未来

©あらゐけいいち講談社/CITY THE ANIMATION 製作委員会

わこ「おぉー、なんじゃこりゃ〜」

ストーリー自体は人助けをしたお礼としておもてなしを受けられる屋敷に監禁された南雲といい人(というキャラ名)がそこから脱出しようとするものですが、それと同時にペンダントの行方を追っているにーくらがいて、二つの出来事が並行して進行していきます。

そして、中盤には南雲やにーくら以外も加えた各キャラの動きをマルチ画面のように同時に描く演出が唯一無二で、同じ動きを繰り返しているだけかと思ってメイン画面だけ見ていると、実はサブ画面も話が進展していたりと目を休める暇がありません。まさに「なんじゃこりゃ〜」の展開です。

画面とCITY(作品の世界)という二つの空間にギャグアニメとして詰め込むだけ詰め込んだ、そんな気概の見えた1本でした。

本放送時のコメントです。
アニメ「CITY THE ANIMATION」 各話コメントⅠ(1話~5話) - アニメ模様


2. mono 第12話「POVホラーどうでしょう」

脚本:米内山陽子 絵コンテ:山本裕介 演出:愛敬亮太、倉富康平、武井諒、村川直哉
作画監督:ミャン、じゅら、諸冨直也、佐藤弘明、宮原拓也

©あfろ芳文社アニプレックス・ソワネ

桜子「だったらPOVモキュメンタリーにすればいんじゃない」

続くこちらも見せ方、見え方の楽しさが追求された作品です。本話はホラードキュメンタリーを収録する話ですが...... ただでは終わらない作りになっています。

まず、2話目で語られた名前だけの存在だった幽霊部員の田島さんがそれ以来に話題にあがり、実際に姿を現したこと。それだけでも面白いですが、続いてホラーの集大成として実はその田島さんが偽物だったことです。そして、最後はドッキリで終わるオチ。

ホラーを撮っていたはずが、さつきたちが田島さんを巡る逸話というホラーに巻き込まれた入れ子的な構図が見せ方の完成形のようでした。さつきの田島さんに関するナレーションがそこをさらに引き立てています。さらにそれまでのエピソードでホラーというジャンルを扱ったことでより怖さに磨きがかかりました。

とことん視聴者を振り回す見せ方に脱帽でした。


・普段そばにいる人

言うまでもなく大切なテーマですが、1本のストーリーになることで改めて肌で感じました。

3. ざつ旅-That's Journey- 第6話「真夏の大冒険旅!」

脚本:中村能子 絵コンテ:原英和、渡邊政治 演出:山本辰、渡邊政治 
作画監督:米田光良、パテ、飯飼一幸、森悦人、FAN DONG DONG、YIN SHAO FENG、HWANG HYUNGRAK

©石坂ケンタ/KADOKAWA/「ざつ旅」製作委員会

暦「私は、将来も今もみんなと楽しく過ごしていきたいって、それだけかな」

本作はスマホなどの現代の機器を活かして、予定を組まない成り行きの旅が思う存分描かれていますが、どうしても"ざつ"、即ち行き当たりばったりではできないことがありました。それは友達と日時を合わせて出かけることです。

高校時代は約束をしなくても毎日会えました。たとえ卒業することでそこが遠くなったとしても、こうして再び同じ時間を過ごせることで大きな力になることは共感させられます。また、旅を楽しめるように巡る場所を計画していた暦からもこの日への熱意が伝わりました。

一人旅の良さも伝わる本作ですが、こうして大切な人との思い出を共有できるツールとしての旅もあって、それは都心のような「旅行」とは少し違う場所でも成立することをしっかりと見せてくれました。

本放送時のコメントです。
アニメ「ざつ旅-That's Journey-」 各話コメントⅡ(5話~8話) - アニメ模様


4. 笑顔のたえない職場です。 第4話「一人じゃできない仕事です。」

脚本:森江美咲 絵コンテ:鳥羽聡 演出:鳥羽聡 作画監督:黒澤浩美、石井ゆみこ、梶浦紳一郎

©くずしろ・講談社/「笑顔のたえない職場です。」製作委員会

双見「それに何より漫画は読者の人が読んでくれて初めて成立するし」

こちらは仕事を通しての目標や苦楽の共有です。漫画家双見の初単行本化への手順を通して、それにまつわる喜びや緊張、様々な心情が駆け巡ります。比較的個人の世界に入りやすいと思われる漫画家が、そこを喜ぶ多くの人々を目の当たりにすることで、一冊に込められた熱量を感じられるストーリーになっていました。

当たり前と言えばそれまでですが、そのようなテーマを嫌味なく扱っているのが良さですし、本作は特に引っ込み思案になりがちな双見の視点があることで周囲が思っている以上にポジティブに受け止めていることがより引き立っていて、その達成感を順を追って味わうことができました。

本放送時のコメントです。
アニメ「笑顔のたえない職場です。」 各話コメントⅠ(1話~5話) - アニメ模様


5. フードコートで、また明日。 第5話「SSR/ウザい/荒浜海水浴場」

脚本:花田十輝 絵コンテ:中川聡 演出:今泉竜太
作画監督:寺尾憲治、Sim Jin-jin、Kang Min-ji、坂井久太、Han Eun-jin

©2024 成家慎一郎/KADOKAWA/フードコートで、また明日。製作委員会

和田「山本とだけだよー。なんか、こんな素直に話できんの」

フードコートでいつも何気ない会話を続ける二人ですが、ここに通うきっかけを振り返るとともにお互いの存在の大切さに気付く話です。学校では自分を押し殺したり、外見から距離を置かれたりで溶け込めない二人がここでは心を開くことができるのです。

前半のエピソードで意気投合したりミスを軽く流したりする間柄を見せながら、後半では喧嘩をすることで、もう一度「友達」を意識させられました。

シンプルな構成の中に友達を感じられるストーリーが素晴らしかったです。


・人間らしさ

人間とは、人間らしさとは。これから取り上げる3本は属性上は人間でないキャラが同じ目線でいるからこそ、そこを再認識させられます。

6. グノーシア 第7話「アンダスタァン?」

脚本:花田十輝 絵コンテ:大西佑希 演出:飯田祐輝
作画監督:松浦有紗、渡邊安美、柏木五月、大河内唯香、齋藤利哉、伏見友葉、古田万尋、キム・ギヨブゾ・ヒョンジ、ゾ・ソヒョン、ソン・ソナ、ソン・ジニョン

©Petit Depotto/Project D.Q.O.

ユーリ「ステラもオトメも人間だって」

ここには人型のAI(ステラ)や人間同等の知性を持ったイルカ(オトメ)、人工皮膚をまとっている人間(しげみち)など、様々な種族が乗り合わせていて、設定、役割上の"人間"を超えた「人間とは何か」を考えさせられることとなります。そして、人間らしさの象徴として人を好きになることが取り上げられます。

今回のメインであるしげみちが自身の外見を肯定的に捉えてくれたステラに対して好意を抱いているように、それは知性があるとか、会話ができるとか、そういった機能面の次元を超えて、純粋に他者を認め受け入れる、時には違う意見もきちんと耳を傾けることに人間らしい愛情が生まれるのではないでしょうか。これまでは人狼ゲームとしての人間か、グノーシアかに焦点が当てられていた中で、そこを横に置いて本質的な人間らしさを掲げたことでよりそこが目立つ作りになっていました。

ちなみにこの次の8話ではグノーシア以上に人間が脅威になる話となっていてそこにもつながる1本でした。


7. 終末ツーリング 第4話「秋葉原

脚本:筆安一幸 絵コンテ:中西和也 演出:神谷歌歩 作画監督:北原大地

©2025 さいとー栄/KADOKAWA/「終末ツーリング」製作委員会

ヨーコ「見て、心臓が飛び出しそうだよ」

こちらは人間らしさの温かみを描いた1話です。人が誰一人いない世界*1なため、人間がいた形跡や実物の生き物に私たち以上の感動を抱くヨーコたちですが、彼女たちを通して改めて「生」というものを意識させられました。

ラジオが太陽光を動力とする無機質な存在であることや人が作ったとは言えプログラムによって動くものは対話に限界があって、完全に血が通っていないことなどを通して、それらからは不足している「生き生きした」ものを欲する気持ちがより明確になっています。

私なんかは現実のごちゃごちゃした「生」が溢れる空間から距離を置きたいこともありますが、全く「無」の世界になったらそれはそれで息苦しいのだろうなと思わされました。

ラジオで流れた楽曲も人の繊細な心の悩みを扱った作品*2のEDテーマ『不可思議のカルテ』であったり、ヨーコたちが歌ったのが『てのひらを太陽に』であったりと、選曲にもテーマを感じました。

本放送時のコメントです。
アニメ「終末ツーリング」 各話コメントⅠ(1話~4話) - アニメ模様


8. ちゃんと吸えない吸血鬼ちゃん 第8話「吸血鬼ちゃんと海」

脚本:小川ひとみ 絵コンテ:山井紗也香 演出:Yuri Pinzon、Jake Marquez
作画監督:Lance Fonacier、Cyrell Mamar、Manuel Tayo、Ria Caluya、Jeorgie Balance、Shannon Ano、Rich Arnosa

©2025 二式恭介/KADOKAWA/ちゃんと吸えない製作委員会ちゃん

大鳥「前からちょっと気になってて、思い出になればいいと思ってさ。だからこれは石川さんにもらってほしくて」

吸血鬼が日常の学校生活に溶け込んでいる本作からはそれを1枚に収めた話を紹介します。吸血鬼の月菜(るな)は敬遠されることもないし、むしろ学校のアイドルとしてみんなから好かれています。でも吸血鬼ゆえに、どうしても写真には写らない。月菜にとっては漫画でしか見たことのなかったせっかくの海の思い出を記録に残せないという問題がありました。

本人は仕方ないと割り切っているのですが、こうして一緒にいることを形に残そうとすることが人間や吸血鬼とか関係なく一人の友達を大切にしていることだと思います。それに、主人公の大鳥や月菜がどうして美術部なのかも腑に落ちましたし、写真で済ませてしまう、それどころかイラストも自動化できる昨今に手で描くということに大きな意味を感じ取れました。


・異なる価値観への理解、尊重

全く異なる考え方を持つ両者が同じ時を過ごす中で自然と新たな発見をしていきます。これから取り上げる2本はどちらも価値観に対する過度な対立や優劣がないのが良い点です。

9. 瑠璃の宝石 第2話「金色の価値」

脚本:横手美智子 絵コンテ:秋山泰彦 演出:秋山泰彦 作画監督:西谷衆平、村井奎太

©2025 渋谷圭一郎/KADOKAWA/「瑠璃の宝石」製作委員会

瑠璃「やだっ、絶対、ぜったーい手放さない」

鉱物に対する金銭的、装飾的価値学術的価値の二つの向き合い方です。

換金することや美しさで鉱物に接している瑠璃と研究者として鉱物の分布そのものに関心を寄せる凪。それでも瑠璃は作業を続けていき、黄鉄鉱の真四角な結晶に自然の美しさを感じ始め、さらに砂金も自然が作り運び出したものであることを知り、自分の興味とは違っても話を聞くことで視野を広げていきます。

本作では幾度も自分の目で直接確かめることを言われていて、特に数値で表せない価値は体験することによる「百聞は一見にしかず」が何よりであることを示していました。

最後に砂金の塊に対する何百万年もの自然の重みを聞いた瑠璃の台詞が上記です。夕陽と重なってその日の集大成でしたね。

本放送時のコメントです。
アニメ「瑠璃の宝石」 各話コメントⅠ(1話~5話) - アニメ模様


10. 空色ユーティリティ 第11話「スペシャルなダブルス」

脚本:皐月彩 絵コンテ:ほしかわたかふみ 演出:田部伸一
作画監督:郁山想、酒井KEI、Zearth Sato、佐藤美音子、関田有紀子

©空色ユーティリティ

日向(ひな)「ちょっと、貴重な一打が、もう何回目ですか、このパターン」

遥「『貴重な一打』、ねぇ」

最後は私の年間一位作品で締めることとします。どの話数を選ぶかも迷った*3し、どの台詞を取り上げるかも一考でした。今回こちらを紹介するのは本作のゴルフに対する寄り添い方が出ていたからです。本作のメインテーマ、みんなで楽しむ趣味ゴルフと個人でスコアを重視する競技ゴルフとのぶつかり合いに見えましたが、どちらもすくい取る巧みなまとめ方が見事でした。

ダブルスという嫌でも他者のショットに目を向けなければならない状況*4で、自分一人では感じることのないプレイスタイルや考え方に接することになります。目的は違えど遥とゴルフがしたいし、彼女のゴルフが見たい。そこの共通点を足がかりに、美波が口にした日向のゴルフを格好良いということにも、今まで自分のゴルフを周囲から認められてこなかった彼女は新たな刺激を受けています。こうしたゴルフを通した対話によって個人競技を抜け出したことにも大きな魅力があります。

一人で頂点を目指すゴルフも否定されませんが、そこに至るにもきっと他者と楽しみを共有するゴルフがあって良いのではないか、そのようなことを考えさせられるエピソードでした。

取り上げた台詞はスコアという意味で取ることもできなくはないですが、話の流れを踏まえれば、美波の楽しむゴルフを認めたことに他ならないと思います。競技ゴルフの日向らしい台詞でありつつ、そのようなニュアンスを出したことが絶妙です。

スペシャルなメッセージを感じ取れた1本でした。

本放送時のコメントです。
アニメ「空色ユーティリティ」 各話コメントⅢ(9話~12話) - アニメ模様



まとめ

今年は昨年に続くやり方に加えて、キーとなる台詞を取り上げました。そのことでよりその話数に感じた魅力を言語化する助けになったと思います。

今年はブログの更新頻度が下がっていました。とは言え、振り返った時にアニメで出会ったご縁を大切にしたいと改めて思いました。ブログ仲間であったり、某同人誌の編集さんであったり。その出会いを繋げる媒体としてこれからもアニメに接していこうかと思います。来年は視聴本数も含め規模を縮小するかもしれませんが、それでも話数10選だけは参加できるように細々とでも続けていきたいです。

*1:テレビアニメを見る限りでは。そこらへんの設定は厳密には私はよく分かっていないです

*2:青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』

*3:ルールが許せば複数選びたかったくらい、みなさんが取り上げている9話も捨て難い

*4:実際最低3ホールはお互いのショットを採用する必要があるそう