2024年7-9月期アニメ「真夜中ぱんチ」の1話~4話のコメントです。
第1話「炎上娘とお寝坊ヴァンパイア」
1話の作り自体が真咲の現状と心境を描いた動画配信そのものなのかと感じました。それは真咲の喜怒哀楽のモノローグによってテンポ良くその状況が語られていたことや、軽快なOPで始まり、ラップ調のEDで締めるのも表紙と裏表紙に思えたからです。そういった構成からも真咲本人が動画向きの人であることがより伝わります。加えて廃病院で鼻血を出しながらカメラを回しているシーンには真咲の動画配信者根性、癖みたいなものも出ていました。録画を飛んでいる最中も含め最後まで回していることなどもそうです*1。
ヴァンパイアのりぶが20年寝てたという設定も、スマホや動画配信などに明るくないことや、それゆえ今回の炎上にも無頓着という点に生きてきています。
また、動画の良し悪しについてもさらっと触れていて、例えば、株の投資の動画にあるように情報の確実性が担保されていないことです。
まとめると、第1話という動画の中に本作における動画とは何かが詰め込まれていました。
第2話「チャンネル開設! 真夜中なのにおっはよー!」
前半は真咲とりぶが自身の利益のために動いているビジネスパートナー的な関係性でした。りぶは再会して早々に約束の確認をしていたし、真咲は動画配信に手段は選ばない様子でした。一転、後半はりぶと真咲が同じ土俵に立ったことが分かります。ヴァンパイアの力を動画に使わないこともそうですが、りぶが動画作成の方法に加え、真咲のことをもっと知りたいという、吸血を超えた関心に彼女の真っ直ぐな気持ちが表れています。
「今の真咲にはりぶがいる」
動画に関しての技術的な話も面白かったです。まずはショート動画で興味を引きつけ、ある程度したら分析して人気ジャンルを見つけること。他には、アカウントを作って、自己紹介動画を撮り、それらを編集で字幕を足したり、サムネイルを工夫したりと。
第3話「新メンバー加入でDEAD or ALIVE」
真咲と十景(とかげ)は似ているというのが第一印象です。一つ*2のことに一目散ですし、最初と最後でそれぞれの企画した動画に苺子が夢中になり、真咲、十景が自慢げに返事をするという、意図的に同じ構図を入れていることからもそれが感じられます。動画は命がけでないとヒットしないと言いましょうか、思いがけないきっかけに引っ込まずに挑むことが重要なのかなと思いました。起死回生という言葉がピッタリでした。
第4話「次の企画の主役はwho?」
ヴァンパイアであることが壁として立ちはだかり、夢を叶えられなかったことで、自分の殻を破れないでいる苺子ですが、そういう姿は人間らしさがあって感情移入してしまいます。やっとのことで綾に会いに行くとすでに他界していて、本当の気持ちは言えないままという辛さも現実的です。その中でビデオメッセージという動画の別の側面を見せたことは動画をメインにした本作において、二人をつなぐ道具に留まらない面白いことだと思いました。
時間経過によって直接言えず完全には修復できない二人の関係性を置きつつも、ビデオメッセージを通して間接的に思いをつなぐことは、それを見た譜風同様に視聴者の心にもぐっと来るものがありました。元に戻るのではなく、前に進んだことが心に残ります。
ところで、綾が2年前ライブを行った住所が書かれた紙を「要らないなら捨てといて」という、真咲の遠回しな心遣いも良かったです。
まとめ
所々コメディっぽいシーンもありますが、全体としてはヴァンパイアであることが決して長所にはならず、むしろどう人間と向き合っていくのかが中心という印象です。それゆえ、毎回のテーマも普遍的な心情に訴えかけるものになっていて、共感、感動する話になっています。関連記事
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