2023年4-6月期アニメ「私の百合はお仕事です!」の9話~12話のコメントです。
第9話「ひとりだけの」
矢野の話に続いて、回想を通して陽芽との関係性が明らかになる回でした。視聴者である私も果乃子と矢野が似ているように思っていましたが、それを陽芽も言及していて、果乃子と矢野は不器用さで共通しています。「知らないよ、先生の結婚なんか。でも、(口に出して、「うん」)断れるわけないでしょ。クラス全員なんて言い方」
先生の私的な事情に付き合わなければいけない理不尽さと、学校の「クラス」単位の嫌な側面には共感しました。
「せっかく、私にも友達できたんだから」
「まつげ、長っ、肌きれい、髪いい匂い。唇つやつやしてて、顔ちっちゃい。吸い込まれそうってこういうこと。可愛いってすごい」
第10話「こわしてしまうのですか?」
この作品はきちんと過去の出来事を明かしてくれるので、それぞれのキャラの考えがより説得力を持って入ってきます。キッチン担当の人にもエピソードがあったことに驚きました。「恋愛ってそんなに大事なこと?周りの何よりも優先させて、それでも続けるほど大事なこと?」
「リーベも現実もないまぜで、それが恋愛なのかって思った」
純加はサロンでのフォローが上手でそこで沈んだ果乃子を見たときもその場を上手く収めていました。一方で果乃子は涙を流すくらい追い詰められているようで心配と言えば、心配です。
以下余談ですが、冒頭の陽芽の写真を見て笑みがこぼれる果乃子は可愛かったです。また、投票用紙を見ると、リーベでお給仕をする人たちは1人90票ですが、どうやら90票を分配することはできず、1つの投票先に90票入れる仕組みみたいです。
第11話「ブルーメ・デア・リーベ」
一つ落としどころが見出された回でした。純加の考えに加え、果乃子の思い、陽芽の状況と様々なことが明らかになっていきました。9話で描かれた果乃子の陽芽への一目惚れだけでなく、陽芽の唯一の友達として「陽芽から好かれる存在」でいることへの強い思いを新たに知ることができました。陽芽も陽芽で本当の友達がほとんどおらず*1、ある意味孤独なんだなという印象です。
今回は純加が上手に果乃子を受け止めたように思えます。以前、“妹”を恋愛で失った純加ですが、今度は“妹”にすることで恋愛を上手く受け止めようとしたのはその失敗を活かしているようでした。
「だったら泣かないでよ。そうやって言わないで抱え込んで、果乃子ちゃんが泣くんじゃ、意味がないじゃんか。私じゃ助けられないかもしれないけど、一人で泣かせたりしない」
シュヴェスターの成立過程も陽芽、美月のような突発的な経緯ではなく、時間をかけて作られたので視聴者の感じ方も深くなります。
純加がブルーメに当選して、作った決まりがまた良いですね。「一年間誰一人欠けることなくサロンを続ける」ということで、みんなが続けられる環境を作るというのは大事なことだと思います。
ただし、果乃子がシュヴェスターに対しても本気なのかは確信が持てないところです。というのも、シュヴェスターの際の
「邪魔だけはしないで下さいね。そのために妹になるんですから」
まぁ、とにかく一つ大きな動きがあった回でした。
第12話「ようこそ夏のリーベ女学園へ!」
不穏なこともなく、一番安心して見られた回でした。前半は夏服の話で、後半はシュヴェスターティーの話。確かに矢野は可哀想ですね。本人に意図はないですし、身体的な特徴だけで着られないのは、それはそれで酷なことですよね。そして布は違和感がさらに出てました。
「私は本当は矢野の体が欲しいの~」
他には果乃子の夏服姿に対して、純加が陽芽に「可愛い」と話を振るのは流石だなと思いました。
後半は紅茶を新たに提供するということで、シュヴェスターティーの復活はリーベの人間関係が落ち着いたことを表していました。紅茶の味を表現できない陽芽が客に判断を委ねて、陽芽らしい交わしかただなと思いました。しかし、客の判断力は信頼できないもので、そういうオチは陽芽らしくて面白いです。
陽芽と矢野については
「ありがとね。助けてくれて」
そして、最後のピアノの連弾のシーンは感動的ですね。やっと二人で弾けたわけですので。
まとめ
果乃子の話になってから続きがどうなるのか気になっていました。関連記事
アニメ「私の百合はお仕事です!」 各話コメントⅠ(1話~4話) - アニメ模様
アニメ「私の百合はお仕事です!」 各話コメントⅡ(5話~8話) - アニメ模様
*1:八方美人な振る舞いをしているので至極当然の帰着のようにも思えるが